今度は、トルコでかなり大規模なクーデター未遂が起きた。
これの鎮圧により、265人が死亡し、うち161人は民間人と警察で、104人がクーデーター勢力の軍人だということだ。
トルコの軍はもともと政治に介入することが多いそうだけど、今回は一部の勢力であり、65万と言われる軍隊の多くは関わってなかったので早期に鎮圧することができたようだ。
それにしても多くの民間人を巻き込んでしまったことで、一部の反体制派によるテロとみなされてもおかしくない事件のような気がした。これによって亡くなった民間人や警察官は、テロに巻き込まれたようなもので、本当にかわいそうだと思う。
少し驚いたのは、エルドアン大統領が民間人に、外に出て反乱軍に抗議をするよう呼びかけたことだ。
しかもそれに呼応して、本当にたくさんのエルドアン支持者が危険をかえりみず、反乱軍による外出禁止令を無視して外に出ていた。
そして反乱軍の戦車に乗ったりして抗議をしていた。一部では、民間人に向けて発砲したそうなので、多くの死傷者が出ている。
日本と比べても仕方がないけど、日本だったら危険なので外出しないように言うだろうなと思った。民間人には発砲しないだろうと思ったのかもしれないけどね。
それでも、命がけで抗議する市民もスゴいと思う。
トルコの軍隊に対しては、民間人の信頼も厚いと言われていた。だから、無謀な一部のクーデターを阻止しようと国民も動いたのかもしれない。
そして、エルドアン大統領も強権的なやり方で反対勢力を封じ込めたりするので批判もあるとはいえ、信奉者も多かったのだろう。
インタビューされた民間人は、軍部が政権を掌握することに拒否感をあらわにしていた。軍部が実権を握ることで、過去に悲惨な目にあった人も多くいるということだ。
まぁ、民主主義の原則から言っても、軍事クーデターによる政権転覆は許されるものではないよね。
エルドアンが首相の間、10年あまりで経済規模が3倍になり、外交でも良好な関係を全方位的に進めて、一時はアラブ人が最も尊敬する非アラブ人指導者と言われるほどの高い評価を内外から得ていたそうだ。
そして、軍部とも慎重に関係を保ちながら、軍部が政治介入ができないようにしていったようだ。
トルコ軍部は、トルコの政治が政教分離を保つための守護者として任じているそうなので、エルドアン政権のイスラム回帰的な部分に反感を持っていたのと、ここ4、5年で強権的になってきたことへの反感があったのではないかと言われている。
そういう複雑なトルコの内情があったと思うけど、この影響によって、シリアの内戦や、シリアからの難民受け入れなど、いろいろな方面に悪い影響が出るのではないかと懸念されている。
中東諸国の中では、あるいはイスラム教の国の中では、最も安定した国であり、民主的な国家へと歩んでいただけに、混乱が続くと中東の不安定化が加速しかねないよね。
イスラム国のテロの拡大やシリアの内戦、昔から続くパレスチナ問題、イランやイラク、サウジアラビアなど、次から次へと混乱の種がある中東・アラブ情勢に、また、大きな不安材料が加わった。ワールドメイトで祈ることがまた増えた。
ヨーロッパとアジアにまたがるイスタンブールや、ノアの箱船伝説が残るアララト山などがあったり、個人的には行ってみたい好きな国なんだけどね。早く安定した状況になるように願いたい。