屋久島は、地図で見ると九州の南端から、少し南にある丸っこい形の島だ。
すぐ隣には、鉄砲伝来で有名な種子島があるけどね。種子島が平坦で山が無いのに比べ、屋久島は9割以上が山岳部になる。
しかも九州最高峰の宮之浦岳1936メートルをはじめ、九州の高峰の1位から8位までを占める。
1500 〜2000メートル級の山々が連なる急峻の山岳島だった。
島の中央部に位置する宮之浦岳は海岸の平地からは見ることができないそうだ。
大きさは淡路島よりも小さいのに、40峰をこえる1000メートル級以上の山々がひしめき合う、とてつもない自然環境の島になるよね。
それで、洋上アルプスとも呼ばれているのだろう。
そして、地元の人々からは山は神山と称えられ、山岳信仰の対象になっている。
それぞれの山には「一品宝珠大権現」が祀られていて、その総本山が「益救神社(やくじんじゃ)」として、平地に建立されているそうだ。
屋久島といえば、鬱蒼とした森林と苔蒸した峡谷の写真をよく見るよね。
もちろん、縄文杉という名がついた、杉の巨木があることでも知られている。
縄文杉という種類の杉があるわけではなく、普通の杉なんだけど、この屋久島の杉は大変な長寿命を誇る。
だいたい500年が寿命と言われる杉が、ここでは1000年以上も長生きしているものがたくさんあり、それらを屋久杉と呼ぶそうだ。
その最大のものが幹まわり16メートルの縄文杉と名付けられた巨木になるけどね。
樹齢は2170年以上と言われているけど、正しい樹齢は不明で、6000年以上とも言われていたそうだ。
また、推定3000年以上は経っている屋久杉がいくつもあると言われている。
そんな驚異的な年月を経た杉が存在するのが屋久島だけど、それでも豊臣秀吉の時代や、その後の江戸時代にも大掛かりな伐採があり、良い木はほとんど刈り出され、その切り株が今も残っているそうだ。
縄文杉のような、扱いにくい癖のある木は刈られずに残ったんだろうね。
そして、前人未到のような森林に覆われているので、そこにはまだまだ発見されてない巨木があると言われている。
NHKの取材班チームが、実際に探検した結果、縄文杉よりも大きな杉をいくつか発見したらしいけどね。まぁ、とても観光では行けない秘境にあるらしい。
驚いたのは九州南端よりも南に位置する亜熱帯に近い気候なのに、冬期の山頂付近の平均気温はマイナス5度になる。
冬になると山頂付近は深い雪に包まれる。
それから黒潮の湿った暖かい空気が山にぶつかり、雲となってたくさんの雨をもたらす。屋久島の年間降水量は日本でもトップクラスになるそうだ。
林芙美子の小説『浮雲』で、屋久島は月のうち三十五日は雨と表現されるくらい雨が多いそうだ。
それに伴い河川は140を超え、深い峡谷が刻まれ、大きな滝がいくつもある。
そんな驚くような自然環境なので、当然、植物の植生も豊かで多様になり、亜熱帯から亜高山帯まで垂直分布が見られるそうだ。
島特有の固有種も多いことから東洋のガラパゴスとも呼ばれている。
つい山に目が行きがちだけど、ビーチや海もとても美しいよね。
人気スポット「白谷雲水侠」は、ジブリ映画「もののけ姫」のモデルにもなった。
ロケも行われ、シシ神様の森や、山犬のモロ一族のすむ窟の描写に活かされている。
もののけ姫といえば、アシタカはエミシの村の出身ということで、アイヌともつながるよね。蝦夷は縄文人の末裔とも言われているらしいけどね。
モロの君に育てられたサンは、人間として育てられ、雰囲気からして縄文人的な感じに見えるよね。
縄文時代の遺跡も発見されている屋久島だけど、その屋久島の自然をモデルにした「もののけ姫」の物語は、南に住むサンと、北に住むアシタカという、縄文人の末裔同士の出会いみたいに感じるよね。