今週号の週刊エコノミストに、昨年末に開催された世界開発協力機構主催の世界人権サミットの記事が掲載されている。
このサミットでは、人身売買という、一般的な日本人にはやや関心の低い問題について、活発な意見が出たり報告がなされた。この世界人権サミットを聞いて、今、世界的に問題になっているテロ活動と人身売買に密接な関わりがあることを知った。
最近、差別や貧困が原因となって、イスラム国へ志願していくという移民の話はよく報道されるようになってきた。
しかし、紛争を避けて逃げてきた人たちが狙われ、人身売買でテロ組織に売られて将来のテロを起こすことまでは、あまり報道されないし、知らなかった。
インドネシアはイスラム教スンニ派の人口が最も多い国だけど、そこで人身売買されてテロ組織で訓練され、再びインドネシアに戻ってテロを行うようなことが起きうると言われていた。
また、アジア人なので、日本にも目立たないように入ってくる可能性があるとも聞いた。だから、無関心では絶対にいられない問題だし、そもそも人道的に言っても非道の限りを尽くしているわけなので、看過できないことだ。
ただ、どうしていいのかわからないので、政府や政治家が取り組んでいかないと、解決に向かわない。そのためには国民の意識の高まりが必要で、その後押しがないと、政治家も本腰がはいらないのだろう。
今回のサミットに参加して、そういうことを感じた。参加したワールドメイトの仲間も、もっと広く知らされないといけないし、皆が問題意識を持つべきだと思うと言っていた。
今年に入って、次々と世界でテロ事件が発生しているけど、奇しくも昨年言われていたように、インドネシアのジャカルタで14日、おそらくイスラム国による初めてのテロ事件が発生した。
中東だけではないし、欧米だけが狙われているのではなく、アジアにも広がっていることが、これではっきりと認識された。
一説によると、これまでにイスラム国に参加のため、約800人が中東へ行き、200人以上がインドネシアに帰国しているらしい。恐れていたことは着実に進んでいた。
また、必ずしもテロ組織の考えに同調してなくても、貧しい境遇ゆえに、コミニティから資金を提供してもらい世話を受けたことで、騙されたまま、何も知らず爆弾をもたされ自爆するケースもあるそうだ。
子供の場合、拐われてテロ組織に渡り、未来の兵士に仕立て上げられるなど、そういうこともあるようだ。
テロ撲滅の一環として、人身売買を防いでいかなければ、やはりテロは無くならないと思った。
勧誘されて志願する若者たちもいるわけだけど、移民や貧困、差別の問題解決と同じように、最重要で取り組まなければいけない問題なのだと思う。
去年のパリ同時テロや、それに続く各地のテロを機に、そしてそのタイミングで行われた人権サミットを機に、日本でも、そういう話が報道されるようになってきたことはよいことだと思う。
多くの人にテロ撲滅のために人身売買の撲滅が重要という意識を持ってもらい、また、人身売買で多岐にわたる犯罪が行われている事実を知ってもらい、そして日本でも人身売買がたくさん行われているという事実を知ってもらえるように願いたい。